ジャニーズ事務所が9月7日に開いた記者会見で、所属タレントの不祥事について謝罪したことを受けて、多くの企業が広告契約の更新を見送ることを表明した。アサヒHDやキリンHD、東京海上日動などがその一例だ。
一方で、健栄製薬は「タレントが被害者である場合、契約を解除することは二重の苦痛になる」として起用を継続する姿勢を示し、パーソルテンプスタッフも対応を慎重に検討するとしている。
そんな中、モスバーガーは9月11日に、人気グループSnow Manのメンバーであるラウールと渡辺翔太が出演する期間限定商品の新CMを公開した。2人は2021年から同社のCMに登場しており、今回も引き続き起用されたわけだが、このタイミングでのCM放送は賛否両論を呼んでしまった。
ジャニーズ事務所との契約問題で揺れる中、新CMを発表したモスバーガー。その背景には何があったのだろうか。
「率直に言えば〝時間的な制約でやむを得ず強行した〟というのが真実だと思います。ジャニーズの会見が7日で、11日から始まるCMを急遽変更するなど不可能ですよ。
ポスターやPOPなどもすでに作成されていたはずですし、それらをすべて差し替えるとなると手間と費用がかかりすぎます。仕方なくそのまま流したということではないでしょうか」(広告アドバイザー)
しかし、モスバーガーは13日に方針を転換し、「ジャニーズ事務所が被害者救済や再発防止に真摯に取り組んでいると認められない限り、契約を更新しない」と発表した。現在放送中のCMや店舗での広告も「速やかに変更する」としている。
企業ごとに判断が異なり、日々変化する状況に対応する必要があるが、この問題の本質や論点はどこにあるのだろうか。
「世界的な歴史的企業でも、100年以上前は奴隷制度を利用して過酷な労働を強いて死亡させたり、新たな奴隷を投入したりするような企業も存在しました。
日本でも、戦後に闇金から始まったり、起源自体に疑問符がつくような会社もたくさんあります。現代の倫理観で判断すれば、こうした企業が今も営業していること自体が不適切です。でも、現実問題そうはいきませんよね。
それに、過去の企業の体質を理由に現在の社員が職を失うのは不当なことですし、ジャニーズの広告問題についても、冷静に考えるべきです。
事件の内容や影響の大きさ、ジャニーズ事務所の今後の対策や改善力、契約続行のリスクやメリットなどを総合的に判断する必要があります」(エコノミスト)
ただし、企業にとってはイメージが重要なのも事実です。それぞれに事情があるとはいえ、消費者としてはどう選択していくかが問われるのかもしれません。
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